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読書 [徒然なるままに]

昨日、出張先の伊丹空港で本屋の前を通った時に、この本が目に飛び込んできた。

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林原家
林原グループの元総帥の林原健 氏の著作である。 なぜ目に飛び込んできたか?
林原といえば、かって岡山駅の真ん前に、広大な林原モータプール、そして、趣のある本社社屋、自由闊達な林原生物化学研究所、林原美術館、京都センチュリーホテルと、地方財閥並みの規模。

昔の会社に入る頃、一時短期間だけ仕事をしたことがありますが、ともかく驚きの連続でした。

まず、研究開発予算が無い。 いわゆる、青天井。 例えば、なにがしにかかる費用はどれくらいですかね?と聴かれ、我が方が指三本立てて、無言回答すると、30億ですか? と帰ってくる。 もちろん、我が方は、3億のつもりだったのですが……要は、価値観がざっくり10倍ほど差があったということです。

生物化学研究所や本社社屋にお邪魔して、食事が出ると、コース料理が出てきます。 センチュリーから派遣があると聞く。 たまげることばかり。

林原の役員によると、岡山空港の飛行機も待ってくれるとか……ともかく、たまげることばかりでした。

研究所の方は博士号取得者ばかり……おいおい、でも、ビジネスの話をしてると、かなり?な部分も多々ありましたが……

この本を読むと、随所にこれらのことが裏打ちされた事実としてマッチしてたんだなぁと感じた次第です。

社長は研究所の面倒を主に見ていたどのこと。 すぐにものになるものは他社にまかせ、基礎研究に主軸を置き、なかなかものにならないものに焦点を当て、社長の決済のみで、細かい売り上げ予測も立てずに、やっていたとか……

それでも、無水マルトースやトレハロース、二種のインターフェロンなどなど多くの素晴らしいものを出してきました。当時からすごいと思ってましたが、社長の下した決断だけが頼りであとは創造性のある環境で、高級取りの科学者たちが仕上げていったのですね。

最後は、長至上主義の家系のなか、経理やビジネスを担っていた弟が粉飾決算を何年も続けていて、1000億を超える負債を抱え、結果的には会社更生法の適応を受けることを決断し、経営から身を引くことになったのだそうだ。

驚くことに、社長として、会社の業績、PLなど一切目を通したことが無いと明言していることも面白い。 まるで、昔の殿様のようだ。

今でも、たまに岡山に行ってタクシーに乗ると林原の話をする。 どの運転手も色々と教えてくれる。 社長の家族は今でも当時の家にいるとか……

林原健 氏自らがきしているが、今はどこの会社も同じようなマーケティング理論を学び、同じような市場分析会社を使い、同じようなマネジメントをして競争しているが、同族会社でカリスマ的な判断をし、会社の全体よりも、研究開発のみを見て、経営は弟に任せきりで、不動産を基盤にビジネスでも成功を成し遂げてきた。 結果的に、会社を追われる身になるが、会社はそのまま長瀬産業に継承さら、ほとんどの社員は職を維持できた。

破天荒なワンマン社長の手記、非常に興味深く読ませてもらったことに感謝です。 このような人物と仕事ができたら、さぞかし面白いと思った次第です。

久々の読書なり。
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